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「モノ不況」と世界経済の低堅さ
欧米中心に高インフレに見舞われ、積極的に金融引き締めをするなかでも世界経済は意外に底堅く推移している。一方、ゼロコロナ政策の解除を受けた中国経済の成長力には、期待外れだったとの評価もある。世界経済の強さが判断しにくい状況とも言えるが、本稿ではモノ主導の景気減速(「モノ不況」)という切り口で状況を整理した。
世界貿易の伸び率は前年比でマイナスに陥っており、時系列で見ても珍しい状況にある。
財貿易が冴えない理由として、経済安全保障の確保やデリスキングなどサプライチェーンの再構築といった構造的な要因のほか、米国中心にモノへの需要が伸び悩んでいるという循環的な要因を指摘できる。本稿では後者に注目する。金融危機以降、米国の財消費と中国の財輸出の動きは類似しており、足もとで双方の伸びが停滞している。これが世界全体の財貿易伸び悩み(「モノ不況」)の一因と捉えられる。
「モノ不況」は、米国でコロナ禍期間中に増加したモノ需要の反動で生じた現象と言える。米国のコロナ禍期間中の財消費は日本やユーロ圏に比べでも突出して大きかった。この反動によるモノ消費減速の影響で、中国の回復力が期待外れとなった可能性がある。「モノ不況」にもかかわらず、経済が底堅く推移している理由として、サービスによる下支えが挙げられる。高インフレや高金利といった厳しい消費環境の中で、引き続き経済の底堅さが持続する場合でも、モノ消費のさらなる成長は期待しにくく、サービスを中心にした成長になるものと思われる。そのため、短期的にはモノの生産国、輸出立国にとって厳しい状況が続くと見られる。
消費者物価 ~補助率縮小に円安、原油高が重なり、ガソリン・灯油価格は大幅上昇へ
総務省が8月18日に公表した消費者物価指数によると、23年7月の消費者物価(全国、生鮮食品を除く総合、以下コアCPI)は前年比3.1%(6月:同3.3%)となり、上昇率は前月から0.2ポイント縮小した。事前の市場予想(QUICK集計:3.1%、当社予想は3.2%)通りの結果であった。全国旅行支援の一部終了に伴い宿泊料(6月:前年比5.5%→7月;同15.1%)の上昇ペースが加速し、携帯電話通信料(6月:前年比2.9%→7月:同10.2%)の上昇率が高まったが、電気代、都市ガス代の下落率が拡大したことがコアCPIを押し下げた。
消費者物価指数の調査対象522品目(生鮮食品を除く)を前年に比べて上昇している品目と下落している品目に分けてみると、7月の上昇品目数は437品目(6月は438品目)、下落品目数は42品目(6月45品目)となり、上昇品目数、下落品目数ともに前月から若干減少した(横ばい品目が増加)。上昇品目数の割合は83.7%(6月は83.9%)、下落品目数の割合は8.0%(6月は8.6%)、「上昇品目割合」-「下落品目割合」は75.7%(6月は75.3%)であった。
7月のコアCPIは前年比3.1%となり、電気代、ガス代の下落幅拡大を主因として、上昇率が前月から0.2ポイント縮小した。しかし、コアコアCPIは前年比4.3%と前月から伸びを高めており、基調的な物価上昇圧力は高まっている。ガソリン、灯油等に対する燃料油価格激変緩和措置の補助率は6月以降、段階的に引き下げられており、9月末には同措置が終了する予定となっている。
足もとで再び円安が進んでいることには留意が必要だが、物価高の主因となっていた輸入物価の上昇には歯止めがかかっており、23年7月の輸入物価は前年比▲14.1%の大幅マイナスとなった。このため、今後は原材料コストを価格転嫁する動きが徐々に弱まり、財価格の上昇率は鈍化することが見込まれる。
雇用動向調査結果の概況
(1)令和4年度の入職と離職
令和4年1年間の入職者数は 7,798.0 千人、離職者数は 7,656.7 千人で、入職者が離職者を 141.3 千人上回っている。就業形態別にみると、一般労働者は、入職者数 4,398.3 千人、離職者数 4,414.9 千人で、離職者が入職者を 16.6 千人上回っている。パートタイム労働者は、入職者数 3,399.7 千人、離職者数 3,241.8 千人で、入職者が離職者を 157.9 千人上回っている。年初の常用労働者数に対する割合である入職率、離職率をみると、入職率は 15.2%、離職率は 15.0%で、0.2 ポイントの入職超過となった。前年と比べると、入職率が 1.2 ポイント、離職率が 1.1 ポイント上昇し、入職超過率は 0.1ポイント拡大した。性別にみると、男性の入職率が 13.2%、離職率が 13.3%、女性の入職率が 17.6%、離職率が 16.9%、就業形態別にみると、一般労働者の入職率が 11.8%、離職率が 11.9%、パートタイム労働者の入職率が 24.2%、離職率が 23.1%で、女性とパートタイム労働者は入職超過、男性と一般労働者は離職超過となっている。前年と比べると、男女とも一般労働者及びパートタイム労働者で入職率、離職率ともに上昇した。
(2)各就業形態の雇用形態別入職と離職の状況
令和4年1年間の入職者数と離職者数を就業形態、雇用形態別にみると、入職者数のうち、一般労働者では「雇用期間の定めなし」が 3,194.3 千人、「雇用期間の定めあり」が 1,203.9千人、パートタイム労働者では「雇用期間の定めなし」が 1,637.7 千人、「雇用期間の定めあり」が 1,762.0 千人となっている。離職者数のうち、一般労働者では「雇用期間の定めなし」が 3,298.1 千人、「雇用期間の定めあり」が 1,116.8 千人、パートタイム労働者では「雇用期間の定めなし」が 1,024.6千人、「雇用期間の定めあり」が 2,217.2 千人となっている。前年と比べると一般労働者は、雇用形態を問わず入職者数、離職者数ともに増加した。パートタイム労働者は「雇用期間の定めなし」の入職者数、離職者数、「雇用期間の定めあり」の離職者数が増加した。
(3)職歴別入職者数、入職率の状況
令和4年 1 年間の入職者数、入職率を職歴別にみると、転職入職者数は 4,969.9 千人で、転職入職率が 9.7%、未就業入職者数は 2,828.0 千人、未就業入職者数のうち、新規学卒者は 1,463.3 千人で、未就業入職率が 5.5%となっている。前年と比べると、転職入職率は 1.0 ポイント、未就業入職率は 0.3 ポイント上昇した。性別にみると、男性は転職入職者数が 2,397.0 千人、未就業入職者数が 1,237.9 千人、未就業入職者数のうち、新規学卒者は 759.5 千人で、転職入職率は 8.7%と 0.7 ポイント上昇し、未就業入職率は 4.5%と横ばいとなった。女性は転職入職者数が 2,572.9 千人、未就業入職者数が 1,590.1 千人、未就業入職者数のうち、新規学卒者は 703.7 千人で、転職入職率は 10.8%と 1.2 ポイント、未就業入職率は 6.7%と 0.6 ポイント上昇した。就業形態別にみると、一般労働者は転職入職者数が 3,014.6 千人、未就業入職者数が1,383.7 千人、未就業入職者数のうち、新規学卒者は 936.7 千人で、転職入職率は 8.1%、未就業入職率は 3.7%となっている。パートタイム労働者は転職入職者数が 1,955.3 千人、未就業入職者数が 1,444.4 千人、未就業入職者数のうち、新規学卒者は 526.5 千人で、転職入職率は13.9%、未就業入職率は 10.3%となっている。
令和4年1年間の労働移動者を主要な産業別にみると、入職者数は「宿泊業,飲食サービス業」が 1,682.8 千人と最も多く、次いで「卸売業,小売業」が1,304.6 千人、「医療,福祉」が 1,138.1 千人の順となっている。離職者数は「卸売業,小売業」が 1,400.4 千人と最も多く、次いで「宿泊業,飲食サービス業」1,302.3 千人、「医療,福祉」が 1,210.0 千人の順となっている。前年と比べると、入職者数では、「宿泊業,飲食サービス業」が 503.3 千人増と最も増加幅が大きく、次いで「卸売業,小売業」が 163.5 千人増となっており、一方、「教育,学習支援業」が 120.7 千人減と最も減少幅が大きく、次いで「生活関連サービス業,娯楽業」が 69.6 千人減となっている。離職者数は、「卸売業,小売業」が 233.2 千人増と最も増加幅が大きく、次いで「医療,福祉」が 153.6 千人増となっており、一方、「生活関連サービス業,娯楽業」が 43.9 千人減と最も減少幅が大きく、次いで「教育,学習支援業」が 22.7 千人減となっている。入職率と離職率をみると、入職率では「宿泊業,飲食サービス業」が 34.6%と最も高く、次いで「生活関連サービス業,娯楽業」が 23.2%となっている。離職率では「宿泊業,飲食サービス業」が 26.8%と最も高く、次いで「サービス業(他に分類されないもの)」が 19.4%となっている。入職超過率をみると、「宿泊業,飲食サービス業」が 7.8 ポイントと最も高く、次いで、「不動産業,物品賃貸業」が 4.6 ポイントとなっており、一方、「複合サービス事業」が-4.0ポイントと最も低く、次いで、「電気・ガス・熱供給・水道業」が-3.1 ポイントとなっている。
中小企業の経営強化のポイント ~①経営強化を目指した法令の概要
中小企業は、人材不足や生産性向上への対応が急務となっています。そのためには、自社で新たな収益拡大の機会となる新規事業の検討や、IT の導入等での省力化による生産性の向上などの取り組みが必要といえます。これらの経営強化を図るための対策を国や行政が後押ししています。本レポートでは、自社の経営強化につながる政策および事例などについて解説します。
中小企業等経営強化法とは、中小企業が「稼ぐ力」を身につけることを、国が後押しするために整備された法律です。具体的には、国が生産性向上に役立つ取り組みを分かりやすく中小企業・小規模事業者等に提供し、生産性を向上させるための取り組みの計画を策定した事業者等を税制面・金融面で支援することが定められています。2020 年 10 月1日に施行された「中小企業成長促進法」において、中小企業等経営強化法にもとづく新たな事業活動に取り組む「経営革新計画」、基礎体力をつける「経営力向上計画」、地域未来投資促進法にもとづく地域全体の活力向上を目指す「地域経済牽引事業計画」をベースに、生産性向上に向けた取組を支援する計画制度が整理統合され、成長段階に応じた体系に簡素化されました。
中小企業の経営強化のポイント ~②経営革新計画策定のポイント
「中小企業等経営強化法」では、「経営革新」を「事業者が新事業活動を行うことにより、その経営の相当程度の向上を図ること」と定義しています。(中小企業等経営強化法 第2条第9項)なお、この法律の「経営革新」には、次のような特徴があります。
個々の中小企業者にとって「新たな事業活動」であれば、既に他社において採用されている技術・方式を活用する場合でも原則として承認の対象となります。ただし、業種毎に同業の中小企業の当該技術等の導入状況、および地域性の高いものについては、同一地域における同業他社の当該技術等の導入状況を判断し、それぞれについて既に相当程度普及している技術・方式等の導入については、承認対象外となります。
中小企業の経営強化のポイント ~③経営強化による支援措置
中小企業者に対する融資の制度はいろいろありますが、経営革新計画の承認を受けると、主に次の4つの保証・融資の優遇措置があります。
(1)信用保障の特例
「信用保証」とは、中小企業者が金融機関から融資を受ける際、信用保証協会が債務保証をする制度です。本特例は経営革新計画の承認を受けた特定事業者に対して、①普通保証等の別枠設定と②新事業開拓保証の限度額引き上げを行うものです。●普通保障等の別枠設定「経営革新計画」の承認事業に対する資金に関し、通常の付保限度額と同額の別枠を設けています。
●新事業開拓保証の限度額引き上げ経営革新のための事業を行うために必要な資金にかかるもののうち、新事業開拓保証の対象となるもの(研究開発費用)について、付保限度額を引き上げています。
中小企業の経営強化のポイント ~④経営力向上に繋がった実践事例
(1)同社の現状
1910 年(明治 43 年)、日本における革靴文化の黎明期に創業、「ライオン靴クリーム本舗」のブランド名でシューケア製品を発売。現在も靴クリーム、靴ワックス、クリーナーなどを主力製品としています。同社のこだわりは、人の手による高品質なものづくり。「靴を美しく見せるお手入れ用品だからこそ、それ自体も美しくなければならない」というこだわりのもと、クリームの表面を平滑にして光沢を表現する「三度注ぎ」、陳列したときの統一感を演出する手作業でのラベル張り、目視による全数検査など、手間のかかる製品づくりを今日も受け継ぎ、その品質の高さを製品そのもので強く訴えています。またこうした手作りの工程を活かし、各種コラボ製品の小ロット生産も受託しています。
(2)計画の内容
利用者の「香り」への評価に着目し、歩くだけで香るフレグランス効果のある靴クリームの実現を目指し、「経営革新計画」の立案に取り組みました。その計画の立案において、会社をとりまくさまざまな数字が「見える化」され、会社の実情がよりリアルにつかめるようになりました。当時の社内には新製品開発について懐疑的な態度も見られましたが、最終的に新製品が市場で評価されたことにより、社内には一体感が生まれました。
中期経営計画のメリット
激しく変化する経営環境に対応すべく、企業は変化し続けなければいけません。変化に追いつけない企業は、やがて衰退してしまいます。しかし、多くの企業は日々の業務に忙殺されています。そんな中で自らを『変える』ことは容易ではありません。そのため、何か『変える』ためのツールが必要になってきます。中期経営計画こそ、そのツールなのです。
● 中期経営計画とは
中期経営計画には、自分たちは今どこにいるのか、これからどこへ向かって変わっていくべきなのか、それをどう具体化していくのかが整理されています。それを経営者をはじめ、全社員が共通のツールとして持つことで、企業は変わることができるのです。
● 中期経営計画の機関はどれくらいが適当か
中期経営計画は、企業の置かれた状況によって、どれくらいの大きさの変化を必要とする業界なのか、それだけの変化を起こすのにどれくらいの時間がかかるのかは異なります。企業規模の視点から見ると、小さな企業は小刻みに変化できるので、中期経営計画の期間は短く、大規模な企業は全体として動きが鈍いので、比較的長い期間を設定します。具体的な期間としては、一般的に3年か5年です。
●中期経営計画のメリット
中期経営計画の策定には、以下の2つのメリットがあります。
中期経営計画策定の第一歩
中期経営計画策定の第一歩は、自社の創業から現在までの社歴分析から入るのが定石です。どの企業にも創業の精神というものがあり、社是や社訓という形で表現されていることが多いのですが、これが現在までどのような紆余曲折を経て受け継がれてきたのか、今後はどう受け継いでいけばいいのかを振り返り、再認識した上で中期経営計画策定に着手することは大変な意義があります。
さらに、創業からの売上高や経常利益の推移をグラフに書き出すこと、重要な出来事を時系列的に列挙すること、成長要因、あるいは衰退要因は何だったのかを把握することは、現在、自社がどのような特質を持っているのかを知ることにつながります。一般的に企業は、以下の変遷をたどります。
自社がどの位置にあり、どういう特質を持っているかを知った上で、次のステップであるSWOT分析や、現状と目標のギャップの認識を行うことによって、今何をすべきか、これから何をすべきかが明確になってきます。