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注目される「需給ギャップ」の利用上の注意点
景気の緩やかな回復に伴い需給ギャップのマイナス幅は縮小しており、2023年度中にはプラスに転じる可能性が高い。需給ギャップは経済・物価情勢を判断する上で非常に重要な指標であるが、利用する上では注意すべき点がいくつかある。
需給ギャップはあくまでも推計値であり、推計方法や推計に用いるデータなどによってその値が変わることに加え、事後的に改定されることが多く、プラスマイナスの符号が逆転することもある。一方、需給ギャップの変化の方向(前期との差)は事後的な改定幅が小さく、符号が逆転することもほとんどない。需給ギャップの水準は一定の幅をもって見ることが必要で、マクロ的な需給バランスを判断する上では方向を重視すべきである。
需給ギャップは実質の概念であり、金額に換算することは必ずしも適切ではない。また、需給ギャップの推計に用いられるGDPは年率換算値であり、四半期の需要不足(超過)額を年率換算値で示すことは誤解を招きかねない。
需給ギャップのプラス転化は、2%の「物価安定の目標」の達成に直結するものではなく、過大評価すべきではない。需給ギャップの改善による物価上昇は、フィリップス曲線を右上の方向に動く形で物価上昇圧力が高まっていることを意味する。日銀が目指しているのは、予想物価上昇率の高まりによってフィリップス曲線が上方シフトし、需給ギャップがゼロ近傍でも消費者物価上昇率が2%程度となることである。日銀が需給ギャップのプラス転化を重要な判断材料として金融政策の正常化に踏み切る可能性は低いだろう。
企業物価指数 ~輸入物価の下落が進む
日本銀行が7月12日に発表した企業物価指数によると、2023年6月の国内企業物価の前年比は4.1%(5月:同5.2%)と6ヵ月連続で伸びが鈍化した。内訳をみると、繊維製品が前年比8.2%と前月(同6.7%)から伸びが高まっている。一方、5月に再生可能エネルギー賦課金の減額によって押し下げられた電力・都市ガス・水道が前年比5.3%と前月(同12.8%)から伸びがさらに縮小した。国内企業物価の前月比は▲0.2%と2ヵ月連続でマイナスとなった。
2023年6月の輸入物価は、契約通貨ベースでは前月比▲3.1%(5月:同▲0.3%)と9ヵ月連続のマイナスとなった。また、2023年6月の円相場(対ドル)は前月比2.8%の円安水準となったため、円ベースでは前月比▲1.2%(5月:同2.0%)と契約通貨ベースよりマイナス幅が小さかった。また円ベースの前年比は▲11.3%(5月:▲5.6%)と二桁のマイナスとなった。契約通貨ベースで輸入物価の内訳をみると、電気・電子機器が前月比0.1%と前月の同▲0.1%からプラスに転じたほか、木材・木製品・林産物が同▲0.1%と前月の同▲3.2%からマイナス幅が縮小した。
川下段階における物価上昇圧力は依然として残っているが、資源高が一服したことにより、輸入物価は下落基調にあり、川上段階のインフレ圧力は弱まっている。国内企業物価の先行きは前年の高い伸びの裏がでることもあり、さらに縮小するだろう。
機会受注統計調査報告
最近の機械受注の動向を前月比でみると、受注総額は、4月 11.5%増の後、5月は 2.9%減となった。需要者別にみると、民需は、4月 8.5%増の後、5月は 5.3%減となった。このうち、民間設備投資の先行指標である「船舶・電力を除く民需」は、4月 5.5%増の後、5月は 7.6%減となった。内訳をみると製造業が 3.2%増、非製造業(船舶・電力を除く)が 19.4%減であった。一方、官公需は、4月 6.8%増の後、5月は地方公務、「その他官公需」等で減少したものの、防衛省、運輸業で増加したことから、8.9%増となった。また、外需は、4月 12.3%増の後、5月は重電機、工作機械等で減少したものの、鉄道車両、原動機等で増加したことから、12.0%増となった。なお、最終需要者が不明である代理店経由の受注は、4月 8.6%増の後、5月は道路車両、産業機械等で増加したものの、重電機、電子・通信機械等で減少したことから、20.4%減となった。
製造業からの受注を前月比でみると、合計では、4月 3.0%減の後、5月は 3.2%増となった。5月の受注を業種別にみると、前月比で増加したのは 17 業種中、造船業(688.9%増)、石油製品・石炭製品(73.3%増)等の7業種で、繊維工業(74.2%減)、非鉄金属(56.1%減)等の 10 業種は減少となった。一方、非製造業からの受注を前月比でみると、合計では、4月 6.7%増の後、5月は 3.7%減となった。5月の受注を業種別にみると、前月比で増加したのは 12 業種中、電力業(109.7%増)、不動産業(51.8%増)等の3業種で、金融業・保険業(42.2%減)、リース業(24.8%減)等の9業種は減少となった。
5月の販売額は2兆 5,403 億円(前月比 9.5%増)で、前3か月平均販売額は2兆 4,124億円(0.7%減)となり、受注残高は 34 兆 9,665 億円(同 0.5%増)となった。この結果、手持月数は 14.5 か月となり、前月差で 0.2 か月増加した。
中小企業が取り組むべきハラスメント対策 ~①傾向
職場におけるハラスメントの問題は、社員の採用や定着を図る上でも非常に重要であり、問題が起きた場合の影響力は深刻です。一方では、企業としてハラスメント防止の対策を講じることで、働きやすい職場環境づくりにプラスの効果があるという調査結果も出ています。中小企業における人材不足の環境において、社員の定着を図るためには、ハラスメントを起こさない職場づくりが重要といえます。本レポートでは、中小企業が取り組むべきハラスメント防止策について解説します。
(1)企業がハラスメントの予防・解決のために実施している取り組み
企業の取り組み内容としては、対応方針の明確化や周知・啓発や相談窓口の設置については回答企業の約8割が実施していると回答しています。一方で、相談窓口の適切な対応については、約4割程度にとどまっています。
(2)ハラスメントの予防・解決のための取り組みを進めたことによる副次的効果
取り組みを進めたことによる副次的効果としては、「職場のコミュニケーションの活性化」の割合が最も高く、次いで「会社への信頼感」や「管理職の意識変化による職場環境の変化」が高いという結果になっています。
中小企業が取り組むべきハラスメント対策 ~②法規制の対象となる各ハラスメントの定義
(1)パワーハラスメント
職場におけるパワーハラスメントは、改正労働施策総合推進法で定義づけており、以下の3つの要素すべてを満たすものと定めています。
「職場内の優位性」は、上司と部下の関係に留まらず、先輩・後輩間、専門知識や経験等様々な優位性が考えられます。また、近年では、「職場の優位性」を逆手にとって、部下から上司へのパワーハラスメントも横行しています。
(2)セクシュアルハラスメント
職場におけるセクシュアルハラスメントについては、男女雇用機会均等法で定義されており、事業主に防止措置を講じることを義務付けています。
(3)職場における妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント
職場における妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント(マタハラ・ケアハラ)については、男女雇用機会均等法および育児・介護休業法第で定義されています。
中小企業が取り組むべきハラスメント対策 ~③企業に求められる対策
厚生労働大臣の指針では、「事業主が雇用管理上講ずべき措置」として、下記のような項目が定められています。事業主は、これらの措置について必ず講じなければならず、派遣労働者に対しては、派遣元のみならず、派遣先事業主も措置を講じなければなりません。
(1)事業主の方針の明確化、およびその周知・啓発
就業規則等の規程に方針を規定するとともに、社内報やパンフレット、ホームページ等の広報媒体を通じて、ハラスメントの内容や発生の原因・背景等を労働者に周知・啓発します。なお、妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメントへの対応については、事業主の方針と併せて制度等が利用できる旨を周知・啓発することとされています
(2)行為者への厳正な対処方針、内容の規定化と周知・啓発
就業規則等に懲戒規定を定め労働者に周知・徹底します。ハラスメントに係る言動を行った者がいた場合は、懲戒規定の適用の対象となる旨を明確化し周知・啓発します。
中小企業が取り組むべきハラスメント対策 ~④対策事例
(1)経営トップからの強いメッセージとして女性活躍を推進するため、会議を招集
B社では、全国に十数カ所ある比較的小規模な営業所から数少ない女性社員を何度も招集し、「業績を回復するにはどうしたら良いか?」、「働きやすい職場とは?」などについて意見を吸い上げるプロジェクト会議を持ちました。男性社会だった運輸業界の殻を破り女性社員に活躍してもらいたい、という社長の熱意に動かされ、会議では職場環境の改善や新しいサービス、接客のあり方などで今までにないヒントやアイデアが出されました。
(2)各事業所の現場で女性社員による業務改革を推進
会議の内容を受けて職場に帰った女性社員が改革の先鋒となることで、徐々に職場の風土や働き方が明らかに変わりました。業績はⅤ字回復し、その後深刻なハラスメント事案の発生はゼロ件を維持しています。
(3)職場環境改善において女性社員の関わりを重要視
営業所長など幹部社員や現場のキーとなる係長には、年に1回は労働環境改善のための研修を行っています。外部講師を招聘してロールプレイやグループ発表をしながら、自分の仕事のやり方の棚卸しを進めています。参加した社員からは「他人の考え方や経験を聞けるのが一番ためになる」という感想が見受けられます。また、月1回の営業所長会議では、うち年に1回は女性社員のプロジェクトのメンバーに参加してもらい、成果発表や提案、参加した感想の発表などをしてもらっており、大きな刺激になっているようです。労働安全面で重要視している点は「適材適所」「傾聴」「積み重ね」とし、社員一人一人に向き合って話をし、適材適所で納得性のある処遇の実現に向けて取り組んでいます。
ナレッジマネジメントについて
ナレッジ・マネジメントと文書管理は、ナレッジを蓄積していくという部分において共通点があり、しばしば混同されているケースがあります。両者は以下の点で対比することができます。
● 目的
文書管理が記録の管理を目的としているのに対し、ナレッジ・マネジメントは蓄積した知識を活用することが目的となります。
● 活動
文書管理では収集、閲覧、参照が中心ですが、ナレッジ・マネジメントでは蓄積された知識をベースにした新しい価値の創造が活動の中心です。
● 活動範囲
文書管理はあくまでも管理が目的のため、管理活動の範囲が限られていますが、ナレッジ・マネジメントでは組織全体の知識の共有が前提のため活動も組織レベルで行います。
● 重点
上記より、文書管理においては量の拡充と網羅性が重点課題となりますが、ナレッジ・マネジメントにおいては量とともに質の拡充が重要になります。ナレッジ・マネジメントは上記の観点で情報を共有し、可視化すること知識を創造していきます。そのことが組織の成長・発展を促すのです。文書管理との違いを要約すると、企業に存在する暗黙知を、いかに組織全体で共有し、後世に残していくかという暗黙知と形式知の変換サイクルを確立することなのです。
ナレッジマネジメントにおいては、ナレッジを暗黙知と形式知とに区分します。そして、下記が、各々の特徴となります。
● 暗黙知
社員が経験を通じて学習した結果獲得した知識で表出化(ビジュアル化)されていないもの。
● 形式知
暗黙知の表出化されたもの。他人にとって利用可能な形を備えたもの。組織が共有する財産。
暗黙知は、形式知に比して操作がしにくいとはいえ、形式知を含めた知識の源泉であり、暗黙知をいかに豊かなものとしていくかが、成功のカギを握るものといえます。