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個人所得課税の改正
令和8年度の個人所得課税は、物価高への対応や成長投資の促進、税負担の公平性確保を柱とした、近年でも大きな改正となりました。中でも目玉となるのは、自由民主党、公明党、国民民主党の間で交わされた3党合意にも盛り込まれている年収の壁の引き上げです。この実現に向けて、所得税の基礎控除と給与所得控除が大きく引き上げられることになりました。また、物価高への対応として住宅ローン控除やNISA制度が拡充されるほか、「格差是正」の観点から、極めて高い水準の所得に対する税負担が見直されます。
近年、日本経済は物価上昇に直面しており、これが国民生活に大きな影響を及ぼしていますが、一方で、所得税法上の非課税限度額などの基準額は、長年にわたって据え置かれてきました。物価が上がっているにもかかわらず、非課税の枠が一定のままだと、その控除が持つ実質的な価値が減少してしまいます。その結果、国民にとっては実質的な税負担が増加するという課題が生じていました。そこで今回の改正では、こうした“据え置かれたまま基準額”のひとつである「通勤手当の非課税限度額」が引き上げられることになりました。
①長距離通勤者の非課税枠の拡大
現行制度では、片道の通勤距離が55km以上の場合、一律で「1か月あたり38,700円」が非課税限度額とされています。今回の改正では、通勤距離65km以上の区分が細かく新設され、距離に応じて限度額がアップします。
②駐車場料金の非課税枠を新設
今回の改正で特に注目すべきは、「駐車場代」が新たに非課税の対象に含まれる点です。一定の要件を満たす駐車場を利用し、その料金を自分で負担している場合、上記の距離別限度額に最大で月5,000円まで加算できるようになります。これまで駐車場代は自己負担、あるいは課税対象となることが多かったため、実質的な手取り額を増やす効果が期待されます。
企業が負担する所得税の非課税範囲は昭和59年以降、1度も見直しが行われていません。そこで、通勤手当の非課税限度額と同様、今回の改正で見直されることになりました。
企業が負担する食事代の所得税の非課税限度額が、月額3,500円から7,500円に引き上げられます。また、深夜勤務の際、現物の代わりに支給する夜食代の非課税限度額が、1回300円以下から650円以下に引き上げられます。
わが国を取り巻く構造的課題や安全保障環境の変化に対応し、防衛力の抜本的強化を推進するためには、将来にわたり持続可能な「安定財源」の確保が不可欠です。政府は「恒久政策には安定財源」との原則を堅持し、安易な国債発行に頼らず国内外の財政的信認を維持することを目指しています。そこで、今回の改正では、令和9年から所得税額に1%を課す「防衛特別所得税」が創設されることになりました。
防衛力の抜本的強化を推進するため、令和9年から所得税額に1%を課す「防衛特別所得税」が創設されます。現下の家計負担を考慮し、復興特別所得税の税率(現行2.1%)を1%引き下げる一方、その課税期間を10年延長することで復興財源も確実に確保する調整が行われます。
【復興特別所得税と防衛特別所得税のイメージ】
ふるさと納税は、感謝や応援の気持ちを地方に伝える公的な仕組みとして創設されましたが、制度の急速な拡大に伴い、いくつかの課題が顕在化しています。
【ふるさと納税の課題】
①制度の巨大化と募集経費の問題
寄附受入額は年間1.2兆円を超える規模に成長しました。しかし、その募集にかかるポータルサイト事業者への手数料等が1,656億円(寄附額の約13%)に達しており、多額の資金が地方自治体の区域外へ流出していることが問題視されています。
②「公金」としての使途の妥当性
ふるさと納税による寄附金は税制上の控除(税金の軽減)を通じて集められた実質的な「公金」です。そのため、外部事業者への支払いを抑え、本来の目的である住民サービスの充実や地域振興に最大限活用されるべきであると考えられています。
③高所得者への過度な優遇
現行制度では、所得が高いほど控除限度額が上限なく増えていく仕組みとなっており、税負担の公平性の観点から是正が求められていました。
制度の健全な運用と「崇高な理念」の実現に向け、以下のような具体的な改正が行われます。
①「60%ルール」の導入
地方公共団体が実施する事業に直接活用できる寄附金の割合(寄附金活用可能額)を、寄附額の60%以上とする基準が設けられます。これにより、募集経費(手数料や返礼品費用など)を実質40%以内に抑えることが求められます。
②寄附金の使途公表の義務化
寄附金がどのように活用されたか、その使途を公表することが指定の基準に加えられます。
③高所得者に対する特例控除額の制限
給与収入1億円相当を目安として、所得に応じて無制限に増えていた特例控除額に定額の上限が設けられます。具体的な上限額(令和10年度分以降の個人住民税)は、道府県民税で77万2千円、市町村民税で115万8千円(指定都市の場合は金額が異なります)とされます。
政府は「貯蓄から投資へ」の流れを加速させ、個人の資産を国内投資へと振り向けることで「強い経済」の実現を目指しています。この方針の下、暗号資産についても、単なる投機対象ではなく、国民の資産形成を支える金融商品として位置付け直し、安心して取引できる市場環境の整備を進めているところです。そのような取り組みの一環として、今回の改正では、一定の要件を満たす暗号資産の現物取引・デリバティブ取引・ETFから生じる所得について、株式など他の金融商品と同様に分離課税の対象とする改正が行われることになりました。
暗号資産取引から生じる所得について、次のような改正が行われます。
①課税方式と税率の変更
国民の資産形成に資する暗号資産の現物取引、デリバティブ取引、およびETF(上場投資信託)について、20%(所得税15%、個人住民税5%)の税率で課税する分離課税の対象とされます。
②損失の繰越控除制度の創設
暗号資産取引で生じた損失のうち、その年の所得から控除しきれない金額については、翌年以後3年間にわたって暗号資産に係る所得から控除できるようになります。
③適正な課税のための報告義務
暗号資産取引業者に対し、取引を行った者の氏名、住所、個人番号(マイナンバー)、および取引内容などを記載した報告書を税務署長へ提出することが義務付けられます。
これらの改正は、改正金融商品取引法の施行日の属する年の翌年1月1日以後に行われる取引から適用される予定です。