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2022年の為替介入を振り返る~効果はあったのか?
昨年、政府・日銀はドル円が1ドル145円を超えた9月22日に24年ぶりとなる円買い為替介入に踏み切った。150円を超えた10月下旬にも2度介入が実施された結果、介入は合計3回、総額9.2兆円規模となった。改めて振り返ってみると、昨年の介入には政府・日銀が円安抑制効果を高めるために施したとみられる工夫が随所にうかがえる。具体的には、「徹底した情報管理」、「大規模・ピンポイントでの実施」、「介入余力の演出」、「米政府の容認獲得」だ。
当時のドル円の動きを見ると、10月下旬の2度の介入の後に円安進行が一服し、11月中旬からは円高基調に転換している。ただし、この円高転換の主因は介入ではなく、日米金融政策の影響、特に米金融政策に対する市場の観測の変化であると考えられる。11月上旬に公表された米CPIが予想以上に鈍化したことなどから利上げ加速観測がやや後退し、日米金利差縮小を通じて円高ドル安に寄与した。また、12月下旬に日銀が突如長期金利操作目標の許容上限を引き上げ、実質的な利上げと受け止められたことも円高に働いた。もともと、ファンダメンタルズによって裏付けられた為替のトレンドを政府・日銀の単独介入によって反転させることは難しいと考えられる。
しかし、介入の効果が無かったわけではない。円安のトレンドを反転させたわけではないにせよ、昨年半ばから進んでいた投機的な円売りが介入によって抑制され、5円程度円安の進行を抑制した可能性が高いと考えられる。今後も中長期的には再び急速な円安・円高局面が発生し、政府・日銀が介入に踏み切らざるを得なくなる場面があるだろう。その際には再び政府・日銀の手腕が問われることになる。
米雇用統計(23年5月) ~雇用者数が市場予想を大幅に上回る一方、失業率が市場予想を上回る上昇
6月2日、米国労働統計局(BLS)は5月の雇用統計を発表した。非農業部門雇用者数は、前月対比で+33.9万人の増加(前月改定値:+29.4万人)と+25.3万人から上方修正された前月を上回ったほか、市場予想の+19.5万人(Bloomberg集計の中央値、以下同様)も大幅に上回った。
5月の非農業部門雇用者数は市場予想を大幅に上回ったほか、後述するように過去2ヵ月分も合計で+9.3万人の大幅な上方修正となった。この結果、過去3ヵ月の月間平均増加ペースは+28.3万人増と年初からの月間平均増加ペースの+31.4万人増からは鈍化したものの、非常に緩やかな鈍化に留まっており、引き続き雇用者数の堅調な増加が持続していることを確認する結果となった。
事業所調査のうち、民間サービス部門は前月比+25.7 万人(前月:+22.5 万人)と前月から雇用の伸びは加速した。民間サービス部門の中では、情報が前月比▲0.9 万人(前月:+0.1 万人)と前月から減少したものの、専門・ビジネスサービスが+6.4 万人(前月:+6.5 万人)、小売業が+1.2 万人(前月:+1.0 万人)と概ね前月並みの伸びを維持した。また、娯楽・宿泊業が+4.8 万人(前月:+3.0 万人)、医療・社会扶助サービスが+7.5 万人(前月:+6.9 万人)、運輸・倉庫が+2.4 万人(前月:+0.4 万人)と前月から伸びが加速し、全体を押し上げた。
家計調査のうち、5月の労働力人口は前月対比で+13.0万人(前月:▲4.3万人)と前月から増加に転じた。内訳を見ると、就業者数が▲31.0万人(前月:+13.9万人)と前月から大幅な減少に転じた一方、失業者数が+44.0万人(前月:▲18.2万人)と就業者数の減少幅を上回る増加に転じて全体を押し上げた。
消費動向調査 ~令和5年5月実施分
(1)消費者態度指数
令和5(2023)年5月の消費者態度指数は、前月差 0.6 ポイント上昇し 36.0 であった。
(2)消費者意識指標
消費者態度指数を構成する各消費者意識指標について、令和5(2023)年5月の動向を前月差でみると、「耐久消費財の買い時判断」が 1.1 ポイント上昇し 30.3、「雇用環境」が 0.8 ポイント上昇し 42.8、「暮らし向き」が 0.7 ポイント上昇し 32.9 となった。一方、「収入の増え方」が 0.2 ポイント低下し 37.9 となった。また、「資産価値」に関する意識指標は、前月差 2.2 ポイント上昇し 43.4 となった。
(3)基調判断
消費者態度指数の動きから見た5月の消費者マインドの基調判断は、持ち直している。(据置き)
令和5(2023)年5月の1年後の物価に関する見通しで、最も回答が多かったのは「上昇する(5%以上)」(52.9%)であった。前月差でみると、「変わらない」が 0.3 ポイント増加したのに対して、「低下する」が 0.2 ポイント減少、「上昇する」も 0.1 ポイント減少した。消費者の物価予想については、「上昇する」と見込む割合は9割を超えている。(据置き)
デジタル化が求められる背景
日本では少子高齢化により今後ますます生産年齢人口の減少が進むと見られており、特に中小企業においては、人手不足が深刻化する恐れがあります。
少ない人員でも事業を維持し、確実に利益を上げ、雇用を維持して地域に貢献していくためには、従業員一人当たりの生産性の向上が欠かせません。
本レポートでは、最近の各種データに基づいて中小企業におけるデジタル化の実態について迫りつつ、デジタル化の推進に必要なポイントについて解説します。
昨今、デジタル化の他にも IT 化、DX 化、情報化など、情報技術の活用によるプロセス改善の用語が多様化しています。「アナログ」「手作業」による情報処理から、情報を「電子化」することを意味する「デジタル化」と、データを背景にツールやシステムを活用して業務を効率化する「IT 化」を包含して、本レポートでは「デジタル化」の呼称に統一します。さらに、デジタル化を実現した先に目指すべきは「DX 化」になります。
中小企業に限らず、ほぼすべての事業者が、自社の製品、売上、販売先、仕入先、資産、従業員などに関する多くの情報を取り扱っています。販路や雇用の拡大に比例して扱うべき情報、生産から販売までのプロセスは膨大となり、複雑化していきます。また近年では個人情報保護法、マイナンバー法、改正電子帳簿保存法、インボイス制度などの法整備も進み、より高い精度の情報管理が企業に求められるようになりました。特に、2023 年 10 月から施行されるインボイス制度に関しては、各メディアでインボイス対応の IT ツールの CM が頻繁に流れており、最も身近な例といえます。
デジタル化による労働生産向上
企業の経営状況を表す分析指標のひとつに「労働生産性」があります。労働生産性は、従業員一人当たりの付加価値額※1 を測定する指標で、従業員一人ひとりがどれだけ効率的に本業の利益を生み出しているかを見るためのものです。労働生産性は財務諸表の数値を用いて以下の計算式で求めることができます。
労働生産性は、クリアすべき絶対的な数値があるものではなく、業種や従業員規模によってもその水準が異なります。そのため、業界の平均値などから自社がどのステージにあるのかを把握したり、自社の数値の変化を観測してその時々に実施してきた取組の成果を把握するために活用します。労働生産性は「効率」を見るための指標です。少ない人数で高い付加価値額を実現できれば「効率が良い」となります。そのため、労働生産性を高める場合は、式の分子である付加価値額を高めるか、分母である従業員数を減少させる必要があります。我が国の時間あたりの労働生産性はOECD 加盟 38 か国の中で 27 位と低く、生産性向上の取組が課題となっています。
多くの中小企業では人手不足の状況にあります。中小企業家同友会全国協議会が 2023 年 3月に実施した調査によると、人手の過不足 DI は△40 と強い不足感を示しており、また経営上の問題点として「仕入れ価格の上昇」に次いで「従業員の不足」が挙げられるなど、やや改善傾向にあるとはいえ、人手不足が経営に与える影響はいまだ深刻です。このような状況下で、効率化のため従業員を減少させるのは現実的ではないことがわかります。そのため、現状において生産性を高めるためには、現状人員でいかに付加価値額を高めていくかを考える必要があります。さらには、今後の少子高齢化の進行による従業員数の自然減を見越して、今より少ない人員で現状と同程度の付加価値額を確保する方策が求められます。付加価値額を高める直接的な方策は、業種や地域を取り巻く状況によるため、ひとつの正解があるわけでありません。
労働生産向上のためのデジタル化の手順
デジタル化を検討する上で最初に行わなければならないのは、社内に存在している業務がどのように行われているのかを把握することです。どの業務が非効率的で手間がかかっているか、または手作業や重複作業が発生しているか、部門間の情報共有に齟齬が出ていないかなどの課題を見つけることが重要です。その後、それぞれの業務工程における改善策を検討します。中には社内のちょっとした工夫で解決するものもあれば、大規模に体制を見直さなければならないもの、もしくは廃止しても影響がない業務があるかもしれません。理想的な業務環境をイメージし、デジタルツールやシステムによって担う部分を決定します。デジタル化は業務改善の「手段」のひとつであり、「目的」ではありません。デジタル化が目的になってしまわないよう、「業務効率化」の目的をしっかり認識してからプロジェクトをスタートさせましょう。
デジタル化には計画が必要です。導入計画では、デジタル化の目標やスケジュール、予算、担当人員の割り当てなどを詳細に定めます。デジタル化の導入には時間と手間が必要な場合があるため、段階的な取組や優先順位付けが必要な場合もあります。導入計画を策定することで、デジタル化プロジェクトを効果的かつ効率的に進めることができます。手順1の現状把握から計画策定まで、業務分析や IT ツールの専門的な知識が要求される場合があります。
デジタル化を実現した事例と行政の支援策
業務のデジタル化に取り組み、生産性向上に成果をあげている企業を2社取り上げて紹介します。また、デジタル化への取組を後押しする施策についてもご紹介します。
同社は、自社工場をショールームとして国内外から顧客を招き、製品の製造工程や従業員の実直な姿勢を見てもらうことで信頼関係を構築してきました。しかし、コロナ禍で工場見学は全てキャンセルとなり、対面型の営業手法からの見直しが迫られました。海外の販売子会社からデジタルコンテンツを充実すべきと提案があり、後継者候補と若手社員の2人で DX 推進室を立ち上げ、取組を開始しました。
多くのコンテンツを充実させることとコスト面を考慮した結果、ハンディカメラと動画編集ソフトを用いて、自前で動画制作を開始。YouTube で再生回数が多い動画を参考に、同社のモノづくりの現場を様々な角度から分かりやすく発信できるよう数十本の動画にまとめて公開しました。動画の反響は大きく、工場見学の代替手段となっただけでなく、動画を見た海外の顧客から製品に関する質問や好意的なコメントが寄せられました。顧客との接点が限定的であった製造部門の社員にとっては、顧客からの声がモチベーションの向上につながりました。取組開始後の 15 か月で、動画コンテンツは 300 種類を超えています。
今後の戦略として、機密保持の観点から ID とパスワードを使った顧客専用サイトの構築、業務効率化に向けたペーパーレス化の推進などを視野に入れています。また、若手社員への技能承継に向けて、製造部門のベテラン社員の作業動画を教材として活用していくことを検討しています。長期的には OJT を通じて、IT 人材を社内で育てていくことを目標としています。
事故にあった時の補償 ~従業員が事故にあった時、死亡したときの補償はどうすれば良いのか?
労働基準法は、労働者の業務上の事故によるケガや病気になった場合は、以下の補償を行うことを義務づけていますが、実際の補償は労災保険によって行われます。業務外の事故は、必ずしも事業主が補償する必要はありません。
会社に療養補償や休業補償などが義務づけられるのは、労働者のケガや病気が、仕事のうえで起こったものに限られるわけですが、それが仕事のうえのものなのかどうか、その判断が困難な場合も多いようです。補償の義務があるかどうかの判断基準は以下の2点になります。
労働基準法は、仕事によって起こるものとして、職業病を予め特定して、それ以外のものでも仕事に起因することが明らかな病気は、仕事の上の病気として取扱うことにしています(労働基準法第 75 条第 2 項)。このように、労働者が仕事のうえで災害を受けたときは、会社はその労働者に重大な過失がない限り(労働基準法第 78 条)、例え会社に過失がなくても補償の責任を負わなければなりません。
日頃から会社が保険料を払い込んでおいて「災害が発生した時にはそれで補償を行う」という仕組みを定めた法律です。
1.適用範囲原則として労働者を雇っている会社は全部、必ず加入しなければなりません。※ただし、農林水産業の一部は、当面、任意適用とされています。(労働災害補償保険法第 3 条)2.保険料保険料は、会社が全額を負担しなければなりません。会社が、この労働者災害補償保険に加入していれば、労働者が仕事のうえで災害を受けたときは、保険の方から補償が行われるわけですが、保険が適用されると、会社は、労働基準法で定められた補償は行わなくてよいことになります。
所定時間外で発生した災害 ~上司に無断で業務を行っていて発生した災害は業務災害として認められるのか?
業務を行っていて発生した災害については、被災者の私的行為や天災といった業務起因性を否定するような事実がない限りは、原則的には業務災害として認められます。社員が上司の許可を得ずに、所定時間外に行った業務で被災した場合、労災として認定されるかどうかが問題となります。この点について、所定時間外に事業主の命令なく行った業務でも、事業の円滑な運営のために必要な場合には、事業主の指揮命令下にあるものとして、通常の業務と同様に扱われますので,その際に被災したとしても業務上災害として認定されます。その他、業務災害と認定された事例、および認定されなかった事例については、以下のものが挙げられます。
◆業務災害と認定された例
◆業務災害と認定されなかった例