しがそうカラム

この修正は修繕費?それとも資本的支出?

保有している固定資産について修理や改良等をした場合に、税務上、これが “修繕費”として費用となるのか、“資本的支出”として資産となるのかの判断に悩むときがあります。
修繕費と資本的支出について確認します。

修理、交換、改良などの支出

保有している固定資産を修理したり、部品を交換したり、改良したり(以下、修理、改良等)した場合に支出した金額について、税務上、修繕費となるか、資本的支出となるかは、基本的に次のように区分します。
修繕費となれば、支出時に費用として損金算入ができます。他方、資本的支出となれば資産計上し、減価償却を通じて損金算入します。

なお、耐用年数が経過している固定資産であっても、修理、改良等をした場合には、この区分をすることにご注意ください。

区分のしかた

修繕費か資本的支出かは、実質で判断します。契約書や請求書などに記載されている名目には左右されません。
ただし次のいずれかにあてはまる場合には、実質に関係なく修繕費とすることができます。
  • 一つの修理、改良等の金額が20万円未満
  • おおむね3年以内の期間を周期として行われる

どちらか明らかでない場合

一つの修理、改良等の金額が20万円以上で、3年以内の周期にも該当しない場合に、修 繕費か資本的支出か明らかでないときは、次のような金額や割合などに応じて区分することができます。
(※)前期末取得価額とは、原則、前期末に有する固定資産の最初の取得価額だけでなく、すでに資本的支出がある場合にはその価額を加算した金額をいいます。また前期末とは、個人の場合は前年12 月31日を指します。以下同じ。
なお、災害により被害を受けた固定資産に関して修理、改良等をした場合は、上記以外の取扱いがあります。

修繕費と資本的支出の区分について次頁にフロー図を用意しました。ご参考ください。

具体例

国税庁から公表されている「消費税のインボイス制度の実施に伴うシステム修正費用の取扱い」には、適格請求書発行事業者に登録したA社がインボイス制度に対応するため、固定資産である受発注や経理等のシステムについて、プログラム修正を外部委託した場合の税務上の取扱いが掲載されています。
○プログラム修正内容
  1. 現行の請求書等のフォーマットに登録番号、軽減税率の対象品目である場合はその旨、税率ごとに合計した対価の額(税抜き又は税込み)、適用税率及び消費税額等を追加
  2. 積上げ計算方式による仕入税額の計算に対応するため、集計方法などの税額計算の要素につきインボイス制度に対応する仕様変更等
上記プログラム修正内容について、国税庁は、「インボイス制度の実施に伴い、システムに従来備わっていた機能の効用を維持するために必要な修正を行うものであることが作業指図書等から明確である場合には、新たな機能の追加、機能の向上等に該当せず、これらの修正に要する費用は修繕費として取り扱われる」と述べています。

また、“現状の効用の維持等に該当しない”資本的支出として、次の2つが例示されていますので、あわせてご確認ください。
  •  受発注システム上で受領し、又は取り込んだ請求書に記載された取引先の登録番号と国税庁の適格請求書発行事業者公表サイトに公表されている情報を自動で照合し、確認する機能を新たに搭載するもの
  • これまでシステムで作成した請求書等を紙媒体で出力し交付していたものを、電子交付まで自動で行えるよう仕様変更するもの
なお、資本的支出に該当する場合であっても、前頁のように修繕費とすることができる場合がありますので、ご注意ください。

参考:国税庁「消費税のインボイス制度の実施に伴うシステム修正費用の取扱いについて」、法基通 7-8-1 ~7-8-10 ほか

「消費税のインボイス制度の実施に伴うシステム修正費用の取扱いについて」|国税庁 (nta.go.jp)

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