しがそうカラム

【しがそう医療コラム】クリニック経営情報ニュースレター 2022年9月号

● 移行に有利な認定制度、残すところ1年
「持分なし医療法人」への移行には、税制や融資で優遇が受けられる認定制度を利用できます。
この制度の認定期限は、今のところ 2023年9月30日。厚生労働省が推進する一方で、移行を躊躇されている医療法人も数多くあります。

「持分あり」を継続した場合のリスク

持分あり医療法人では、出資者が出資割合に応じて法人資産を払戻すことができます。出資者が退職の際に払戻しを請求したり、出資者自身が亡くなった後、その相続人が払戻しを請求したりするなどの可能性があります。
特に、大幅に純資産が増額している法人では、払戻額も莫大です。医療法人は配当が禁止されており、評価額が大きく膨れ上がっているケースもあります。
(例)設立時:出資金500万円 うちAが100万円を出資(全体の1/5)
十数年後:A は退職に伴い、払戻しを請求 そのときの法人の純資産が3億円

この場合、医療法人には、3億円×1/5=6,000万円の支払い義務が生じます。
この状態は、経営を継続していく上で、大きなリスクとなります。これを回避し、地域の医療サービスの安定を図るために、持分なし医療法人への移行が進められています。

認定制度による優遇措置とは

移行では、持分の放棄や払戻しにより、持分を消滅させます。
このとき、税負担や金銭的負担が発生します。これを軽減すべく設けられたのが認定制度です。
2023年9月30日までに認定されれば、本来発生する相続税・贈与税が猶予(場合によっては免除)され、低利の融資を受けることができます。
認定制度は、あらかじめ厚生労働省に移行計画を申請し、認定を受ける制度です。この計画に基づいて、持分放棄や払戻し、定款変更のための手続きを行い、持分なし医療法人に移行します。
移行後6年間は、運営状況を毎年報告することが義務付けられています。
移行後は「持分」の概念がなくなり、事業承継がスムーズになります。また、内部留保で相続税がかさむ心配からも解放され、安心して利益を計上できる利点もあります。

一方でデメリットとしては、6年の間、認定制度による要件を満たすことが求められることや、持分がないために、法人が解散しても財産が手元に戻らないことが挙げられます。
ご検討の場合はお早めにご相談ください。

参考:厚生労働省「持分の定めのない医療法人への移行計画の認定申請について(認定医療法人制度)」

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000205627.html

広告可能な資格等を持つ医師数

医療広告には一定の規制が設けられています。
ここでは、今年3月に発表された調査結果※などから、広告可能な専門性資格等を持つ診療所の医師数をみていきます。

6割以上が何らかの資格等を持つ

調査結果などから、広告可能な専門性に関する資格および麻酔科標榜資格(以下、資 格等)別の診療所の医師数をまとめると、下表のとおりです。
2020年の結果をみると、最も医師数が多いのは総合内科専門医で、9,656人でした。次いで、消化器病専門医と眼科専門医、整形外科専門医が 6,000人を超えました。
その一方で、一般病院連携精神医学専門医と熱傷専門医、脳血管内治療専門医は50人未満となっています。
2018年からの増減率では、周産期(新生児)専門医やがん薬物療法専門医、婦人科腫瘍専門医、生殖医療専門医が 20%以上増加しました。反対に最も減少率が高いのは、細胞診専門医の-5.6%でした。

診療所の医師総数から資格なしの医師数を除いた、何らかの資格等を持つ医師数は6割を超え、その数は2018年から増加しています。
こうした資格等は、患者が医療機関を選択する際に役に立つ情報でもあり、今後も種類によって、資格等を持つ医師数は増えるでしょう。

※厚生労働省「令和2(2020)年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況」

医師・歯科医師・薬剤師統計 | ファイル | 統計データを探す | 政府統計の総合窓口 (e-stat.go.jp)
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医療機関でみられる人事労務Q&A!『育児休業中に働いてもらうことはできるのか?』

育児休業(以下、育休)を取得する予定の職員がいます。育休中の人員不足を補うため求人募集をしていますが、なかなか思うように応募がありません。
育休中は基本的には育児に専念してもらうつもりですが、月に2~3日程度、働いてもらうことはできますか?

原則として、育休中の職員を働かせることはできません。ただし、医院と職員との話し合いにより、職員が合意した場合に限り、一時的・臨時的に働かせることができます。
なお、2022年10月1日からの産後パパ育休では、休業中に働く仕組みが設けられます。

 
● 詳細解説
1.育休中の就労

育休は、原則、子どもが1歳になるまで取得できます。育休中は、原則として働くことが想定されておらず、医院の一方的な指示によって働かせることはできません。
ただし、医院と職員の話し合いによって、子どもの養育をする必要がないときに限り、一時的・臨時的に働かせることができます。
質問のように、あらかじめ月2~3日の働く日を決めておくことはできませんが、例えば、職員間で感染症がまん延し、一時的に職員が足りなくなった場合に、医院が応援のために臨時で看護業務を依頼し、職員が合意した場合は、働かせることができます。 2.産後パパ育休中の就労

男性の育休の取得促進策のひとつとして、2022年10月に産後パパ育休(出生時育児休 業)が創設されます。産後パパ育休は、子どもが1歳になるまでの育休とは別に、子どもが生まれて8週間以内に4週間まで育休を取得できる制度です。
この産後パパ育休中は、労使協定をあらかじめ締結することで、医院と職員で個別に合意した日や時間に働くことが認められていることが最大の特徴です。
なお、働く日や時間には、上限が設けられています。 3.育休中に働いた場合の育児休業給付金

育休中・産後パパ育休中に職員が働いた場合、医院は職員に賃金を支払う必要がありますが、支払われる賃金額によって、育児休業給付金の支給額が減額されたり、支給されなくなったりします。
また、一定の時間数を超えて働くと、その期間に係る育児休業給付金が支給されなくなります。そのため、職員を働かせる場合には、その仕組みを十分に説明し、職員に納得して働いてもらうことが必要です。
育休は、子どもを養育するための休業であるという本来の趣旨を理解した上で、産後パパ育休中に働くことのできる仕組みを利用することで人員不足を補ったり、万が一の際には、職員の同意を得て一時的・臨時的に働かせたりすることができることを理解しておくとよいでしょう。 医院の開設や経営でお悩みの方へ…滋賀総合会計の医業専門チームお客様のお悩みを解決いたします。
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